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気候変動が地域の仕事を変える?:働き手によって違う影響と、不公平

Tags: 気候変動, 仕事, 働き方, 地域経済, 不公平, 環境正義

はじめに

地球温暖化をはじめとする気候変動は、私たちの暮らしの様々なところに影響を与えています。これまでの記事では、暮らしのサービスや災害、エネルギー価格などへの影響についてお話ししてきました。

今回の記事では、気候変動が私たちの身近な「仕事」や「働き方」に、どのように関わってくるのか、そしてなぜ、その影響が全ての人に同じように現れるわけではないのか、つまり「不公平」が生じるのかについて考えていきます。

気候変動が地域の仕事に与える具体的な影響

気候変動は、様々な産業に影響を及ぼします。特に、地域の自然環境と深く関わる仕事は、その影響を受けやすいと言えます。

例えば、農業です。気温の上昇や雨の降り方の変化によって、これまで育てていた作物が育ちにくくなったり、病害虫が増えたりすることがあります。突然の豪雨や長期間の干ばつは、収穫に大きな被害をもたらします。これは、農家の方々にとって、収入が不安定になることにつながります。

漁業も同様です。海水温の変化によって、これまで獲れていた魚が獲れなくなったり、違う種類の魚が増えたりします。海が荒れる日が増えれば、漁に出られない日が増え、収入が減少することもあります。

観光業も影響を受けます。冬の気温が高くなれば、雪不足でスキー場が営業できなくなったりします。夏の猛暑が続けば、屋外での観光イベントが中止になったり、観光客が減ったりすることもあります。

建設業や屋外での作業が多い仕事も、夏の猛暑で作業時間が制限されたり、熱中症のリスクが高まったりします。

なぜ、働き手によって影響が違うのか?

気候変動による仕事への影響は、地域や産業によって異なりますが、さらに同じ地域、同じ産業の中でも、影響の受けやすさには違いがあります。なぜでしょうか?

従事している産業や仕事の種類

先ほど触れたように、農業や漁業、屋外作業など、気候や自然環境に直接影響される仕事をしている人は、そうでない人に比べて、より大きな影響を受けやすいと言えます。

働く場所の環境

同じ産業でも、インフラが整備されている地域とそうでない地域では、災害時の影響の受け方が異なります。例えば、水害が起きやすい地域で働く人は、そうでない地域の人よりも、仕事への影響や中断のリスクが高まります。(図で説明するなら:浸水リスクの高い地域に立つ工場や商店のイラストと、そうでない地域のイラストを並べ、災害時の操業停止リスクの違いを示すイメージ)

経済的な余裕や蓄え

気候変動による収入の減少や仕事の中断があった場合、経済的な余裕がある人や、他の収入源がある人は、一時的に影響を受けても生活を維持しやすいかもしれません。しかし、その仕事が唯一の収入源である場合や、経済的に厳しい状況にある人は、少しの変化でも立ち行かなくなる可能性があります。

別の仕事への移行のしやすさ

気候変動によって現在の仕事が難しくなった場合、新しい仕事を見つけたり、違う技術を身につけたりする必要が出てくるかもしれません。しかし、年齢やこれまでの経験、住んでいる地域によっては、新しい仕事を見つけることが難しかったり、必要なスキルを学ぶ機会が少なかったりすることがあります。特に、高齢の方や、特定の専門的な技術で長く働いてきた方にとっては、大きな課題となることがあります。(図で説明するなら:若年層や都市部住民がオンラインで学びやすい様子と、高齢者や地方住民が対面での学びや新しい技術習得に苦労するイメージ)

働き方の安定性

正社員として安定した収入を得ている人と、パートやアルバイト、日雇いなどで不安定な働き方をしている人では、気候変動による仕事の中断が生活に与えるダメージの大きさが異なります。不安定な働き方をしている人は、日々の収入が途絶えることが、より深刻な問題となります。

まとめ

このように、気候変動は地域の様々な仕事や働き方に影響を与えます。そして、その影響は、どんな仕事をしているか、どこで働いているか、どれだけ経済的な余裕があるか、新しいことに挑戦しやすい環境にあるかなどによって、人それぞれ異なります。

気候変動対策を進める際には、これらの不公平な影響にも目を向け、特に影響を受けやすい立場にある人々や地域をどのように支えていくのかを考えることが大切です。私たちの社会が、気候変動の時代においても、誰もが安心して働き、暮らせる場所であるために、この「働き方の不公平」についても理解を深めていく必要があります。