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気候変動と水害・土砂災害:影響が偏る理由とその背景

Tags: 気候変動, 環境正義, 水害, 土砂災害, 地域防災

気候変動でなぜ大雨が増えるのか?

近年、日本を含め世界中で、これまで経験したことのないような大雨や、土砂災害が頻繁に起きるようになっています。これは、地球温暖化、つまり気候変動が大きく関わっていると考えられています。

空気が温かくなると、より多くの水分を蓄えることができるようになります。そのため、温かい空気からは、一度にたくさんの雨が降ることが増えるのです。これが、集中豪雨や台風の大型化につながり、水害や土砂災害のリスクを高めているのです。

災害の影響は、なぜ特定の場所に偏るのか?

気候変動によって大雨や災害が増えることはお分かりいただけたかと思います。しかし、この災害による被害は、すべての場所で同じように起きるわけではありません。特定の地域や、そこに住む人々に、より大きな影響が出やすいという現実があります。

例えば、テレビのニュースなどで、いつも同じような場所が浸水していたり、土砂崩れが起きたりしているのを見たことがあるかもしれません。また、同じ地域に住んでいても、「うちは大丈夫だったけれど、あの家は大変だったらしい」という話を聞くこともあるでしょう。

このように、気候変動による災害の影響が特定の場所に偏るのには、いくつかの理由があります。

影響が偏る主な理由

なぜ、気候変動による水害や土砂災害の影響は偏ってしまうのでしょうか。主な理由をいくつかご紹介します。

1. 地形と土地の特性

最も大きな理由の一つが、その土地が持つ「地形」と「特性」です。

災害のリスクが高い場所に、昔から人が住んでいるという地域は少なくありません。これは、水が手に入りやすい場所だったり、交通の便が良かったり、あるいは単に歴史的な経緯であったり、様々な理由があるからです。

2. 防災施設の整備状況

地域によって、災害から身を守るための施設(インフラ)の整備状況には違いがあります。

これらの防災施設は、整備するのに多額の費用がかかります。そのため、国の予算や自治体の財政状況によって、整備の進み具合に差が出てしまうことがあります。

3. 社会的な要因

住んでいる場所の地形や防災施設の状況だけでなく、そこに住む人々の社会的な状況も、災害の影響の受けやすさに関係しています。

このように、同じ地域に住んでいても、年齢、体力、経済状況、家族構成などによって、災害から身を守る行動を取れるかどうか、そして被災後の生活を立て直せるかどうかに差が出てしまうのです。

まとめ:なぜ不公平に感じるのか

気候変動による大雨や災害の影響が、特定の場所や人々に偏って現れるのは、単に運が悪いというわけではありません。その土地が持つ自然の特性、過去からの街づくりの経緯、そしてそこに住む人々の社会的な状況が複雑に絡み合っているためです。

災害のリスクが高い場所に、経済的に余裕がなく、高齢者や体の不自由な方が多く住んでいるといった場合、その地域や人々は気候変動の大きな影響を受けやすいことになります。

これは、まさに「環境正義」という考え方で扱われる問題の一つです。気候変動のような地球規模の問題によって引き起こされる困難や不利益が、特定の社会的な立場の弱い人々に偏ってのしかかるのは、公平とは言えないのではないか、という視点です。

私たちは、気候変動の影響がどこで、誰に、なぜ偏って出ているのかを知り、その背景にある地理的、社会的、経済的な理由を理解することが大切です。そうすることで、私たち一人ひとりができること、そして地域や社会全体で考えるべきことが見えてくるはずです。