気候変動で電気代・ガス代が高騰?暮らしへの影響と負担が偏る理由
気候変動は私たちの暮らしにどう関係するのでしょうか?
最近、「電気代やガス代が高くなった」と感じることはありませんか。光熱費は毎日の暮らしに欠かせないお金ですから、値上がりは家計にとって大きな負担となります。
この光熱費の値上がりには、様々な要因が考えられますが、実は「気候変動」もその一つとして関係している場合があります。そして、この影響は、住む場所や収入、年齢などによって大きく異なることがあります。
なぜ気候変動が光熱費に関わるのか、そして、なぜその負担が特定の家庭に偏ってしまうのか。今回は、気候変動と私たちの暮らしの身近な関係について考えてみたいと思います。
気候変動がエネルギーの利用を変える
気候変動が進むと、日本の天気はより極端になる傾向があると言われています。
例えば、夏はこれまで以上に暑くなり、冬は強い寒波が訪れることがあります。
夏の暑さと電気代
夏の猛暑が続くと、熱中症を防ぐためにエアコンを使う時間が増えます。エアコンは多くの電気を消費するため、使う時間が増えれば増えるほど電気代は高くなります。
外気温が非常に高い日は、エアコンを強く運転する必要があるため、さらに多くの電気が必要です。
冬の寒さと電気代・ガス代
冬に強い寒波が来ると、暖房を使う時間が増えます。エアコンやガスファンヒーターなど、様々な暖房器具を使いますが、いずれもエネルギーを消費します。
特に寒さが厳しい地域や日には、暖房なしでは過ごせないため、電気代やガス代が増えてしまいます。
このように、気候変動による極端な暑さや寒さは、私たちの生活に必要なエネルギーの量を増やし、それが光熱費の上昇につながる一つの原因となります。
負担が特定の家庭に偏る理由
気候変動によるエネルギー費用の増加は、すべての人に同じように影響するわけではありません。特定の状況にある方々にとって、より大きな負担となることがあります。
収入による影響
収入が少ないご家庭では、電気代やガス代といった光熱費が、家計に占める割合が高くなる傾向があります。光熱費が値上がりすると、食料費や医療費など、他の必要な支出を削らざるを得なくなる場合があります。
図やイラストで示すなら、収入の高い家庭と低い家庭で、光熱費が収入全体に対してどのくらいの割合になるかを示すイメージです。収入が低いほど、光熱費の割合が大きくなります。
住まいの影響
住んでいる家の性能も、エネルギー費用に大きく関わります。古い建物や、断熱材があまり使われていない家では、夏は外の熱が入りやすく、冬は中の熱が逃げやすくなります。
このため、快適な室温を保つために、より多くの冷暖房が必要となり、エネルギー消費が増えてしまいます。
図やイラストで示すなら、断熱性能の高い家と低い家で、同じ室温を保つのにかかるエネルギー量や光熱費を比較するイメージです。断熱性能が低い家の方が、エネルギー消費が多くなります。
健康状態と年齢による影響
高齢の方や、呼吸器・循環器系の病気をお持ちの方などは、健康を保つために室温管理が特に重要です。極端な暑さや寒さは、健康状態を悪化させるリスクを高めます。
そのため、たとえ光熱費が高くなっても、エアコンや暖房を適切に使うことが不可欠になります。無理に我慢すると、熱中症やヒートショックといった命に関わる危険が高まるため、光熱費の負担が重くても冷暖房を使い続けざるを得ない状況が発生します。
これは、収入が少ない高齢者や持病をお持ちの方にとって、経済的な負担が健康リスクに直結するという深刻な問題につながります。
情報と支援へのアクセス
省エネのための工夫や、エネルギー費用に関する公的な支援制度などについて、情報が十分に届いていなかったり、申請の手続きが難しかったりする場合もあります。
特にインターネットの利用に不慣れな方にとっては、必要な情報にアクセスしにくいという課題があります。
まとめ:これは「環境正義」の問題です
気候変動によるエネルギー費用の増加が、特に収入の少ない家庭、断熱性能の低い家に住む人々、そして高齢者や健康に不安がある人々に重い負担となること。これは、単なる経済的な問題だけでなく、「環境正義」という考え方にも関係します。
環境正義とは、環境問題による悪い影響が、社会の中で弱い立場にある人々に偏って現れる状況を、公平ではないと捉える考え方です。
気候変動によって電気代やガス代が高くなり、それが原因で健康を損なったり、生活が苦しくなったりする人々がいる状況は、まさに環境問題の影響が不公平に現れている例と言えます。
私たち一人ひとりが、気候変動の影響が誰に、どのように及んでいるのかを知り、誰もが安心して暮らせる社会を目指すために、この問題を理解し、関心を持つことが大切です。